〝九月、カンピオナート・ブラジレイロ(ブラジル全国選手権)のアトレチコ・ゴイアニエンセ戦、当然自分がけるものだと思っていたペナルティーキックを監督の指示でけらせてもらえず、ネイマールは激怒した。試合終了後にキャプテンや監督につっかかり、この…

〝2010年の1月、選手権が開幕し、ネイマールとアンドレ・フェリペ・リベイロ・デ・ソウザのふたりがピッチに歩き出すと、観客がげらげら笑い出し、声援と口笛でスタンドがどよめいた。 ふたりともおそろいのモヒカンヘアだ。 ふたりはサイドラインに立って、…

〝2009年3月7日、ネイマールは試合にでられるのかもわからないままベンチに座っていた。 一週間くらい前、サントスFCはネイマールをトップチームに昇格させた。 「自分を信じろ」監督は言った。「ゴールを決めてこい」 ネイマールは頷いた。ピッチに立つと、…

〝会長は咳払いをした。パイ（ネイマールの父）の言いたいことはよくわかった。 「ネイマールは私にとって息子のようなものだ。いや、クラブにとってもな。私は、自分の息子にはあらゆる手を尽くす」すでにチェルシーもネイマール獲得に動き出しているという…

〝ロバート神父に言われた通り、ネイマールはその日の出来事を振り返った。誰かを傷つけてしまった時は、その人のために祈りを捧げて、どうやってお詫びをするか考える。ところが、その日はパイ（ネイマールの父）がひとりで話を続けた。 「クラブのみんなが…

〝「父さん、今日はサボっていい？」 「サボる？」パイ（ネイマールの父）が息子のところに歩いてくる。「どういうことだ？」 「みんなと練習したい」ネイマールは言った。「長い間、部活に顔を出してないから」 パイは立ち止まって、フットサルコートを眺め…

〝「まだ連れて行ったりはしないよ。ちょっとプレーを見たかっただけだ」 「誰の？」ベッチーニョはとぼけた顔でたずねた。 「君のチームで、次のビッグスターになる少年があの子の他にいるか？」 ベッチーニョは大切な息子を眺めるような目でジュニーニョ（…

〝フィノ監督は興奮しながら、サイドラインのベンチから立ち上がった。 「みんながジュニーニョ（ネイマール）に夢中だ」大きく響く歓声に負けない声で、ベッチーニョが監督に話しかける。 「切り返し、体のひねり方、ドリブルの緩急……」フィノ監督は、呟く…

〝テレビ局のスタッフがカメラをかまえる。ブリオーザのコートにライトが当てられた。サンパウロ州チャンピオンシップのテレビ中継の準備だ。まだ無名だったネイマール・ジュニアは、新しいヘアースタイルで登場した。横を刈り上げ、ふさふさした前髪をつん…

〝ランチはいつもグレメタルで食べた。マーグリ監督がホイッスルを吹くと、少年達はコートを飛び出して食堂に急いだ。 「昼食だ！」監督はジュニーニョ（ネイマール）とレオ・デンチーニョに大声で言った。 「いりません」ジュニーニョが答える。「まだ練習…

〝「父さん？」 「どうした？」 いつかプライア・グランデに家を建てるよ。サッカーができる家だ。電気も消えたりしない。」 「それはいい考えだ」 「父さん？」 「ん？」 「僕、サッカーが大好きなんだ」 「知ってる。父さんも大好きだ。またサッカーの話を…

〝ふたりがロウソクの前で楽しそうに踊っていて、暗く沈んだ部屋が明るくなり、パイ（ネイマールの父）とナジーネ（ネイマールの母）も思わず微笑んだ。 ジュニーニョ（ネイマール）とラファエラ（ネイマールの妹）が両親の手を取って、四人で踊り始めた。 …

〝ディフェンダーふたりが詰め寄ったとき、ジュニーニョ（ネイマール）はボールをちょんと浮かせた。ループシュートだ。ボールが木の葉のようにゆっくりと落ちて、ゴールネットを揺らした。 グレメタルの監督、アルシージス・ジュニオール・マーグリは目を丸…

〝ジュニーニョ（ネイマール）はグレメタルの建物を見上げた。夢みたいだ。 とにかくサッカーをするのが楽しくて、うまくなりたいとか、そういったことは考えなかった。 ブラジル人が夢中になるようなプレーをする。それが楽しくて仕方なかった。 サッカーが…

〝数年後、パイ（ネイマールの父）とジュニーニョ（ネイマール）は二人だけの習慣を始めた。そしてそれを一生続けようと約束した。ジュニーニョがピッチに立つ時は、一緒に二人で聖書の一節を口ずさむことにしたのだ。 それができない時は、パイが紙を息子の…

〝「ぼ、ぼく、ずっと父さんからかくれてた。ピッチをめちゃくちゃにして、父さんに叱られるのがこわかったから」 ジュニーニョ（ネイマール）は打ち明けて、父親の目をじっとみつめた。 「かくれてた？ばかなやつだな。 父さんが気付かないと思ったのか？」…

「我々は彼を全力でサポートする。 この負傷を共に乗り越えるために 励みになるような言葉をかけ、 彼自身が常にあらわにしてきた 向上心を生かそうと思う」 ✨ネイマールはチームの宝物✨ 💗私にとっても宝物💗

🙏Boa sorte🙏 ボア ソルチ 🙏幸運を祈ります🙏

〝パイシャーダ・サンチスタのフットサルコートに立って、ジュニーニョ（ネイマール）はわくわくしながら体育館に響く足音に耳をすました。 コートのはしからはしまで何歩で走れるか、しっかり頭の中に入っている。 それがわかっていれば、 どんな時でもチー…

ふたりはいつもサッカーの話をしていた。 パイ（ネイマールの父）は独創性が大切だとジュニーニョ（ネイマール）に言い聞かせた。 名プレイヤーには、一瞬のひらめきがある。そのひらめきが、ほかの並のプレイヤーとの違いを生んで、特別な存在にしてくれる…

〝ベッチーニョ（一流プレイヤーを見つけだすスカウト）はたまたま見かけたジュニーニョ（ネイマール）をみて思った。 自分のフットサルチームにあの子を入れたら、素晴らしいチームになる。 動きが速い。驚くほど速い。 ドリブルは自信にみちていて、しなや…

〝パイ（ネイマールの父）はひそかに考えていた。いつかまたサッカーができる。ただ、いつできるようになるかは、神様がきめることだ。自分が決めることじゃない。 サッカーができるようになるまでのあいだ、 観客を魅了するサッカーについて、自分の知って…