💗『ネイマール-ピッチでくりだす魔法』より
〝2010年の1月、選手権が開幕し、ネイマールとアンドレ・フェリペ・リベイロ・デ・ソウザのふたりがピッチに歩き出すと、観客がげらげら笑い出し、声援と口笛でスタンドがどよめいた。
ふたりともおそろいのモヒカンヘアだ。
ふたりはサイドラインに立って、観客からの拍手と声援をあびた。
「まあでも、俺はその変な髪型に慣れてきたよ」ロビーニョが自分の頭を触ってから、ネイマールの髪をくしゃくしゃっとなでた。「それにしても、ばかなことを考えたな」
「ちょっと目立ちたくてさ」ネイマールが冗談めかして言いながら、四人はポジションについた。
「目立ちたい?」とロビーニョ。「いいか、お前ならすぐにヘリコプターでスタジアムに来るくらいになれるよ」
ロビーニョは何となくそう言っただけだったが、カンピオナート・パウリスタ(サンパウロ州選手権)が開幕して三ヶ月で、ネイマールは14ゴールを決めた。カンピオナート・パウリスタ、別名パウリスタンは、サンパウロ州のプロサッカーリーグだ。ネイマールはめざましい活躍をみせ、たった三ヶ月でサポーターのヒーローになった。
ところが、その全てが砕け散った。〟