💗『ネイマール-ピッチでくりだす魔法』より

〝2009年3月7日、ネイマールは試合にでられるのかもわからないままベンチに座っていた。

一週間くらい前、サントスFCネイマールをトップチームに昇格させた。

 

「自分を信じろ」監督は言った。「ゴールを決めてこい」

ネイマールは頷いた。ピッチに立つと、スタンドがどよめいて地震のようにゆれ、サポーターが何度もネイマールの名前を叫んだ。

ネイマールネイマール!」

サントスFCの白と黒のストライプのユニフォーム、背番号18。ついにこの瞬間が来た。ピッチに立ってすぐ、ネイマールはボールを受けた。相手ゴールに向かって攻め上がりシュートを放ったが、ゴールポストにはねかえされた。

スコアはまだ0対0。

だがネイマールの投入でチャンスが生まれ、サントスFCは何とかゴールをこじあけ、2対1で勝利した。ネイマールはきっちり仕事を果たした。試合終了後にピッチから出るとき、サポーターが総立ちでネイマールに声援を送った。新しいスターのデビュー戦をサポーターはその目に焼き付けた。

8日後の2009年3月15日、ネイマールにまたピッチに立つチャンスがまわってきた。相手はモジ・ミリンEC、ふたたびパカエンブー・スタジアムだ。この試合での背番号は7番だった。

 

マウリシオがハーフウェイラインまで攻め上がり、ジェルマーノにパス。左サイドにドリブルしたジェルマーノからパスを受けた、トリギーニョが鋭いセンタリングを上げた。マークの激しいディフェンダーを振り切って、ネイマールのダイビングヘッドでゴール!3対0!

サントスでの初ゴールだ!ネイマールは嬉しそうに走りながら、人差し指を天に向け、尊敬するおじいちゃんにゴールを捧げた。初ゴールはおじいちゃんに、と父親と約束していた。ネイマールは飛びはねて、拳を突き上げた。

ガンソに駆け寄って、ネイマールは満面の笑みで抱きついた。

サントスFCの少年が輝いています!」テレビ中継のアナウンサーがマイクに向かって絶叫する。「歴史的ゴールです!今日は、ブラジルサッカーにとって歴史的な一日となりました!」〟